ハピネス不動産・芝浦百代橋前支店の店長、山下は悩んでいた。
「3つの条件か──。それをクリアーできるコピー機なんてあるのかな?」
事の起こりは、事務所で使用しているコピー機が故障したことだった。10年近く使っていたコピー機だったから、この機会に買い換えること自体に問題はなかった。しかし買い換えに当たって、エリアマネージャーからこんな注文が出されたのだった。

「まず、導入時と稼働時を合わせたトータルなコストを下げること。それから君のところは6人の小所帯でスペースも狭いんだから、なるべくコンパクトな機械にした方がいいな。もうひとつ、俺たちの業界はとにかく頻繁にコピーをとるだろう。だから、メンテナンスのしやすい機種を選ぶこと」
この3つの条件がクリアーできれば、メーカーや機種はまかせる。そうマネージャーは言った。
山下はとりあえず、2カ月ほど前にやはりコピー機を買い換えた隣の支店の店長のつてで、OA機器の販売店、ヒノマル商会に電話をかけてみた。「ダメもと」で3つの条件について相談してみようと考えたのである。すると店員は意外にも、
「かしこまりました。すぐに弊社担当のOKIデータの営業より、折り返し連絡を入れさせます。“の・ぐ・ち”と申しまして、御社の別の支店でも新機種導入をサポートさせていただいた者です」
そう事もなげに言って電話を切った。野口から電話がかかってきたのは、それから5分ほどたってからである。
「OKIデータ国内営業本部の野口です。お話はヒノマル商会様から伺いました。早速ですが、山下様、本日のご都合はいかがでしょうか」
ピッタリの機種があるから、すぐにでも説明に上がりたい。そう野口は言った。対応の早さに山下はびっくりしたが、新しいマシンを導入するのは早ければ早いほどよいのは確かだった。その日の午後に店に来てもらう約束をして、山下は受話器を置いた。




