Vol.6 マーケティングのシンプルな考え方

マーケティングの基本的な課題は、あなたが先頭を切れる分野を創造することである。
これが「一番手の法則」である。他に優っていることよりも、先頭を切ることのほうが大切なのだ。最初に顧客の心に入り込むことのほうが、最初に入り込んだ商品より自分の商品の方がベターであると人に納得させることよりもはるかに容易なのである。
次の二つの質問を読めば、一番手の法則がよく理解できるだろう。
- 大西洋を最初に単独で横断飛行した人物の名前は? そう、もちろんチャールズ・リンドバーグだ。
- 大西洋を二番目に単独飛行した人物の名前は? おそらく簡単には答えられないだろう。
(『マーケティング22の法則』アル・ライズ、ジャック・トラウト 著 新井喜美夫 訳/東急エージェンシー)
マーケティングといえば、フィリップ・コトラーという名前が真っ先に出てくるが、コトラーの著作は大著なものが多く、その網羅性は十分であるが、全体感というものが非常にとらえづらく、マーケティング従事者でなければ読む必要はないだろう。
しかし、マーケティングを抜きにして仕事を完遂するということは現代では考えられないので、もっと手っ取り早く本質的な情報をつかみたいという読者ニーズは高い。その意味で、本書は最適な入門書であり、膨大なマーケティングを22に絞り込んで法則化した、きわめて便利な1冊である。
マーケティングと一言で言っても、リサーチを意味する場合もあるし、商品開発的な位置、もしくはPRという言葉に置き換えている時もある。そういう意味で、マーケティングという言葉はビジネスにとって「逃げ」にも使える、便利な言葉といえよう。
本書で言うマーケティングとは「顧客の知覚に先手をうち、取り込んでいく作業」という定義になっている。これは、著者たちが考案したコンセプト、ポジショニングが中心となっている。ポジショニングというのは、文字通り位置取りであり、その立ち位置によって優位性を獲得する考え方である。非常に単純な考え方であるが、実行することは容易ではない。
なぜなら、ポジショニングの考え方によれば、仮にあなたの会社が業界NO.2であれば、NO.1に対してカウンターをとるような戦略を立てなければいけないと考えるからである。自社をNO.2と言い切れるだけの冷静さをもてるか? そういった大胆な発想から自社をポジションし直し、形成を逆転できるのか? 過去のデータや結果からシナリオ構築していく考え方だ。
マーケティングとは経営戦略そのものなのだ、と著者たちは言う。そういった認識を読者に求められる1冊である。